コンシェルジュからのギフト~人生を豊かにする、お金と暮らしのヒント~ 第5回「失敗しない人生」より、「後悔しない人生」を。
ライフプラン・コンシェルジュからの一言
いつも「コンシェルジュからのギフト」をご覧いただき、ありがとうございます。
<人生設計専門FP>として〖ライフプラン・コンシェルジュ〗を名乗る自分が、
「人生を設計する上で、皆さんに知っておいてほしいと思う知識や考え方」
を、自分なりの解釈でお伝えしているこのシリーズ。
今回で、第5回となります。
前回は、
「迷うことは、いけないことなのでしょうか?」
というテーマについて、一緒に考えてみました。
人生には、進学、就職、結婚、住宅購入、転職、資産形成など、簡単には決められないことがたくさんあります。
だからこそ、人は迷います。
そして、その迷っている時間は、単に「決められない時間」なのではなく、
「自分は何を大切にしたいのか」
「何を守りたいのか」
「これから、どんな人生を送りたいのか」
を考えるための時間でもあるのではないか、というお話でした。
そして、自分がお伝えしたかったのは、
迷うことそのものを避けるのではなく、迷いながらも、自分自身で納得できる選択をすることの大切さ
です。
では、もしそのように迷いながら、自分で納得して選んだ道が、思っていた結果にならなかったとしたら、その選択は「失敗」なのでしょうか?
そして、もし失敗したくないと思うあまり、なかなか一歩を踏み出せなかったとしたら。
自分は、ここにも人生を考えるうえで大切なことがあるように思います。
今回は、
「失敗しない人生」より、「後悔しない人生」を。
というテーマで、もう一歩踏み込んで考えてみたいと思います。
第1章 私たちは、なぜ「失敗したくない」と思うのでしょうか。
「できれば失敗したくない。」
これは、誰にとっても自然な気持ちだと思います。
仕事でもそうですし、結婚や住まいでもそうです。
もちろん、お金についても同じです。
「この投資で損をしたらどうしよう。」
「住宅を買ってから、もっと良い選択肢があったと気づいたらどうしよう。」
「保険に入りすぎていたらどうしよう。」
「もっと早く資産形成を始めておけばよかった、と思うことにならないだろうか。」
こうした不安を感じることは、決しておかしなことではありません。
むしろ、自分の人生やお金を大切に考えているからこそ、「失敗したくない」と思うのだと思います。
ただ、ここで少し考えてみたいことがあります。
それは、
「失敗」とはいったい何なのでしょうか?
ということです。
例えば、投資を始めて、その後に相場が下落したとします。
結果だけを見れば、
「損をした」
という事実があります。
でも、その人が長期的な資産形成を考え、投資目的を明確にして、自分に合ったリスクの範囲で投資をしていたのであれば、損失が出たという結果だけで、その選択自体を「失敗」と呼べるのでしょうか?
もちろん、当初の判断に無理がなかったか、リスクの理解は十分だったかなど、振り返ることも必要です。
ただ、結果が思いどおりにならなかったことと、その選択そのものが間違っていたことは、必ずしも同じではありません。
反対に、周囲から見れば「成功」に見える選択でも、その人自身が、
「本当はこうしたくなかった」
と思いながら選んだのであれば、その人にとって本当に「成功」だったのでしょうか。
そう考えていくと、「成功」と「失敗」は、単純に結果だけでは決められないように思えてきます。
もちろん、結果は大切です。
お金のことなら、数字もしっかり見なければなりません。
ただ、
結果だけで、その選択そのものの価値まで決めてしまっていいのだろうか?
自分は、そこに少し違和感があります。
第2章 「成功」と「失敗」は、いつ決まるのでしょうか。
人生の面白いところは、ある時点では「失敗」に見えたことが、後になって別の意味を持つことがある点だと思っています。
例えば、転職したものの、「思っていた仕事とは違った」と気付いた時、「転職しなければよかった」と思うかもしれません。
でも、その経験があったからこそ、自分が本当にやりたい仕事に気づくことができたとしたら、その転職は、本当に「失敗」だったのでしょうか?
あるいは、何かに挑戦して、うまくいかなかった。
その結果だけを見れば、成功とは言えないかもしれません。
でも、その経験から、
「自分は何を大切にしたいのか?」
「何なら頑張れるのか?」
「これだけは譲れないものは何なのか?」
が分かったとしたら、その経験は、その後の人生にとって大きな意味を持つかもしれません。
もちろん、すべての失敗が、後になって良い経験になるとは限りません。
それでも、人生は、その時点だけでは選択の意味を判断できないことがあります。
そのときには「失敗」だと思ったことが、何年か経ってから振り返ると、
「あの経験があったから、今がある。」
と思えることもあるでしょう。
だから自分は、
人生の選択には、その時点では「正解」も「不正解」も分からないものがある。
と思っています。
だからこそ、結果だけで判断するのではなく、
「そのときの自分は、何を大切にして、この選択をしたのか」
ということが大切なのではないでしょうか。
第3章 お金の選択にも、「成功」と「失敗」があるのでしょうか。
これは、FPとしてお金の相談を受けていると、特に感じることです。
例えば、
「もっと早く投資を始めていればよかった。」
「もっと貯金しておけばよかった。」
「住宅を買うタイミングを変えればよかった。」
「こんなに保険に入らなくてもよかった。」
相談の中では、こうした「過去の選択」に対する後悔を聞くことがあります。
もちろん、過去を振り返ることは大切です。
反省することで、これからの行動を変えることができます。
ただ、自分は、
過去の自分を責めるために、振り返る必要はない。
とも思っています。
なぜなら、そのときには、そのときなりの理由があったはずだからです。
例えば、
「投資は怖いと思っていた。」
「家族を守ることを優先したかった。」
「将来が不安だったから、現金を持っておきたかった。」
「そもそも、そんな選択肢があることを知らなかった。」
それぞれ、そのときの自分にとっては、それなりの理由があったのだと思います。
だからこそ、お金について考えるときも、
「一番得する方法は何か?」
だけを見るのではなく、
「自分は、何を大切にして、その選択をするのか?」
を考えてみる。
そのうえで、
「では、その人生を実現するために、お金をどう使い、どう備えるのか?」
を考える。
自分が<人生設計専門FP>として大切にしているのも、まさにこの順番です。
お金の選択を人生から切り離して考えるのではなく、人生の中にお金を置いて考えてみる。
そうすれば、
「得か、損か」
だけでは見えなかった選択肢も、見えてくるのではないでしょうか。
第4章 「後悔しない」とは、失敗しないことではありません。
ここまで考えてくると、「失敗しない人生」と「後悔しない人生」は、少し違うように思えてきます。
失敗を避けることを最優先にするなら、
「できるだけリスクを取らない。」
「間違いのない選択をする。」
「確実に成功すると分かってから動く。」
という考え方になるかもしれません。
でも、未来がどうなるかは、誰にも分かりません。
どれだけ調べても、どれだけ準備しても、思い通りにならないことはあります。
だとすれば、
「失敗しないこと」を目標にしてしまうと、いつまでも動けなくなってしまう可能性があります。
一方で、「後悔しない」というのは、少し違うのではないでしょうか。
それは、
「結果がどうなるか分からなくても、自分なりに考え、納得して選ぶこと」
なのだと思います。
もちろん、納得して選んだからといって、後悔しないわけではありません。
「あのとき、違う選択をすればよかった。」
そう思うことだってあると思います。
また、納得して選んだことが、必ずしも正しい判断だったとは限りません。
ときには、自分の判断を振り返り、改めることも必要です。
それでも、自分で考え、
「自分で考えて選んだ。」
「自分が納得して決めた。」
という経験があるならば、
「自分は何を大切にしていたのか」
ということを振り返り、次の選択につなげることができます。
だから自分は、
「後悔しない」とは、後悔することがない人生ではなく、後悔した経験さえも自分の人生として受け止められることなのではないか。
と考えています。
第5章 みなさんへの質問
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
最後に、今回は少しだけ「未来」ではなく「過去」に目を向けてみてください。
これまでの人生の中で、
「あのとき、別の選択をしていたら……」
と思ったことはありませんか?
仕事でも、家族でも、お金でも構いません。
もし思い浮かぶものがあったら、もう一つだけ考えてみてください。
「なぜ、そのとき自分は、その選択をしたのだろう?」
と。
そのときの自分は、何を大切にしていたのでしょうか?
何を守りたかったのでしょうか?
何を恐れていたのでしょうか?
そして、もし今の自分が同じ場面に立ったとしたら、同じ選択をするでしょうか。
それとも、違う選択をするでしょうか。
ここで大切なのは、
「昔の自分は間違っていた。」
と決めることではありません。
むしろ、
「あのときの自分は、あのときなりに考えて選んだ。」
と、一度受け止めてみることです。
そのうえで、
「今の自分なら、何を大切にして選ぶのだろう?」
と考えてみる。
もしかすると、そこから「これからの人生で大切にしたいこと」が見えてくるかもしれません。
第6章 まとめ
今回お伝えしたかったことは、
「失敗しない人生」より、「後悔しない人生」を考えてみてほしい。
ということです。
人生では、どれだけ考えても、すべての結果を予測することはできません。
だから、「絶対に失敗しない選択」を探し続けることには限界があります。
それよりも、
「自分は何を大切にしたいのか。」
「そのために、どんな選択をしたいのか。」
「そして、その選択に自分自身が納得できるのか。」
そこを考えることが大切なのではないでしょうか。
結果が思い通りにならないこともあります。
途中で「違った」と気づくこともあります。
そんなときには、また考え直せばいい。
選び直してもいい。
人生設計は、一度決めたら変更できないものではありません。
その時々の自分に合わせて、何度でも見直していけばいいのだと思います。
だからこそ、
「成功したか、失敗したか」だけではなく、
「自分は納得して選んだか」
という視点を持ってみる。
それが、自分らしい人生をつくっていくための、一つの大切な考え方なのではないでしょうか。
結びの言葉
人生には、選ばなければならない瞬間があります。
その選択が正しかったかどうかは、その時には誰にも分かりません。
でも、一つだけ言えることがあります。
納得して選んだ道は、きっとあなた自身の人生になります。
このシリーズが、その「納得して選ぶ」ための小さな灯りになれたなら、ライフプラン・コンシェルジュとして、これ以上嬉しいことはありません。
次回予告
「もし、あのときに戻れたら……」
~過去を変えることはできなくても、これからは変えられる~
今回は、「失敗」と「後悔」、そして「納得して選ぶ」ということについて考えてみました。
では、もし過去の選択を一つだけやり直せるとしたら、皆さんは何を選び直したいでしょうか。
「あのとき、こうしておけばよかった。」
人生を振り返れば、誰にでも一つや二つ、そんな思いがあるのではないでしょうか。
でも、過去に戻ることはできません。
それでは、過去を振り返ることには意味がないのでしょうか?
自分は、そうではないと思っています。
過去そのものを変えることはできなくても、その出来事をどう捉えるか、そしてこれから何を選ぶかは、今の自分が決めることができます。
次回は、「過去との向き合い方」をテーマに、一緒に考えてみたいと思います。
今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
次回も、どうぞお楽しみに。
次回予告
「もし、あのときに戻れたら……」
~過去を変えることはできなくても、これからは変えられる~